茶道の現在地
「日日是好日」(にちにちこれこうじつ)は樹木希林、黒木華、多部未華子が出演する茶道に関する映画です。派手さはありませんが、茶道が求めるゆるやかな時間をいっしょに体験できるような映画で、観ていてなごめます。
この映画では樹木希林がお茶の先生で、黒木華と多部未華子がその生徒。他にもたくさん生徒さんがいますが、全て女性です。
昭和の時代はお茶とお花は花嫁修行のひとつと言われて、あちこちにこの映画のようなお茶とお花のお教室がありました。
企業でも就労時間後に社員用のお茶やお花の教室を開いているところもありました。当然習うのは当時OLと呼ばれていた女性従業員がほとんどでした。
いつの間にかお茶とお花は女性がたしなむもの、みたいになってしまったんですよね。
でもね、お茶って元々男の世界だったんですよ。
正確に言うと、日本のお茶を定着させたのは千利休で、商人の間で流行っていたお茶を政治的なツールとして採用したのが織田信長だったんですね。
信長が許可しないと茶会を開いてはいけないとか、手柄を立てると普通は国(土地)をもらうんですけど、代わりに名器と呼ばれる茶道具を与えたりしていたんです。
信長に謀反をおこした松永久秀は、名器「古天明平蜘蛛」(こてんみょうひらぐも)を差し出せば助命すると言われたのですが、松永久秀は耳を貸さずにその茶器といっしょに爆死したなんてエピソードもあったりします。
お茶とか茶道具が武士が命をかけるような重要アイテムだったのです。
もちろん当時も利休の娘(お吟)とか女性の茶人もいたのですが、ノリとしては男というか武士のもの。
江戸時代も幕府の正式儀礼としてお茶が取り入れられて、武士のたしなみだったと言われています。
それが変化したのは明治になってから。良家の女子が通う学校の教養科目として茶道が組み込まれて、今のように女性の習うものみたいな流れになったそうです。
実は私もお茶には興味があって習いたいと思っています。でも女性向けが多くて、なかなか男の私には敷居が高いんですよね。所作を習いたいというより、所作の奥に隠された利休や織部の思考にふれてみたいのですけど。
日日是好日(2018)
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