ワイルドでエネルギッシュな昭和
「東京流れ者」は1966年に鈴木清順監督が日活で撮った、ミュージカル風のヤクザ映画です。
日活は、70年代はロマンポルノの映画会社ですけど、その前は青春映画とアクション映画がメインだったんですね。
石原裕次郎もメインは日活だし、小林旭も日活だし。この映画の主演は渡哲也ですし。
(知らない人はおじいちゃんおばあちゃんに聞いてみてください。裕次郎も旭も哲也も、みんな誰でも知っている大スターです)
で、この映画の見所は60年代の、高度成長期のイキイキとした昭和の日本の姿ですかね。
舞台は東京、庄内、佐世保と移り変わるんですが、ヤクザが経営するキャバレーとかゴーゴーバーが出てきて、そのネオンがキラキラというかギラギラしていて、エネルギーが満ちあふれている昭和の空気感がムンムンと伝わってきます。
劇中、みんな拳銃をバンバン撃つんですが、もちろんこの当時も拳銃所持は違法です。
たぶん派手に拳銃を撃つシーンを入れたいとなると、架空の世界の話にするか、違法を承知で撃ちまくるヤクザを主人公にするしかなかったんだと思います。
実際にこの頃はヤクザの組同士の抗争が激しくて、ドンパチやったというニュースがしょっちゅうあったので、観ている方も違和感なかったと思いますけど。
ちなみに日本の家庭にテレビが普及したのは1964年の東京オリンピックで、それまで庶民の娯楽の王様は映画だったんですよね。
今はもう跡形もないかもしれませんが、どんな町にも映画館は必ず1館はあったんです。映画って大きな町に見に行く物じゃなくて、地元の町で観る物だったんですよ。
たぶん今はシャッター商店街になってしまっている駅前とかにあったはずです。
(これもおじいいちゃんおばあちゃんに聞くと「うちの町にもあったよ」と教えてくれるかも)
この映画を撮った鈴木清順監督は、この後「ツィゴイネルワイゼン」というとんでもない名作を生み出すんですけど、大正ロマンの話なので今回はスルーしますので、興味を持った方はぜひ観てくださいね。
話を「東京流れ者」に戻すと、男が「漢」として描かれていて、とにかくかっこいいんです。
そりゃ渡哲也に惚れるに決まってるでしょう、という感じです。
昭和ならではエネルギーをぜひ味わってみてください。
東京流れ者(1966)
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