
鎌倉時代のあの本は?
吾妻鏡
鎌倉幕府が編纂した歴史書

実は家康が集めて出版したから、この本は今も残りました。
解説
徳川家康の愛読書は、鎌倉幕府が編纂した歴史書『吾妻鏡』でした。源頼朝の挙兵から 約90年間の出来事を、幕府の側から日記のように書き綴った記録です。 戦国武将たちはこの本を読んで、武士の道理や治世の術を学びました。家康も そのひとり。武家政権はどう作られ、どう保たれたのか——鎌倉の記録は、 江戸幕府をつくる男にとって実用書だったのです。側近の僧・西笑承兌は、 家康が閑暇の折に耽読していたと書き残しています。 そして実は、私たちが今『吾妻鏡』を読めるのも家康と無縁ではありません。 この本は早い時期に散逸し、断片的な写本が各地に散らばっている状態でした。 小田原北条氏に伝わった写本は、黒田如水を経て徳川家へ。家康はそれらを集めて 復元し、1605年、征夷大将軍を辞す直前に出版させました(伏見版『東鑑』)。 写本でしか伝わらなかった記録が、版本として広く流通するきっかけになったのです。 ただし『吾妻鏡』は幕府側の視点で編まれた歴史書なので、他の記録と照らし合わせ ながら読む必要があります。それでも、鎌倉の記録を江戸の将軍が救ったという事実は、 400年の時を越えて残りました。
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