
「ゲシュタルト崩壊」の「ゲシュタルト」とは、もともと何のことでしょう?
ドイツ語で「形」
ゲシュタルト崩壊は同じ字を見続けるうちにパーツがばらばらに見えてくる

実は夏目漱石も『門』でゲシュタルト崩壊をえがいている
解説
「ゲシュタルト崩壊」の「ゲシュタルト(Gestalt)」は、ドイツ語で「形」「姿」のこと。心理学では、部分を足し合わせただけでは説明できない「全体としてのまとまり」を指します。
分かりやすい例がメロディーです。1890年、オーストリアの哲学者エーレンフェルスは、調を変えて一つひとつの音がすべて入れ替わっても、私たちは同じ曲だと分かる点に注目しました。その「まとまり」こそがゲシュタルトです。
ゲシュタルト崩壊は、このまとまりが崩れ、同じ字や図形を見続けるうちにパーツがばらばらに見えてくる現象。ちなみにふだんのドイツ語では、人の体つきや、正体の分からない「人影」を指すときにも使われます。
この感覚を、明治の文豪も小説に書いています。夏目漱石の『門』(1910年)の冒頭で、主人公の宗助は「近来の近の字はどう書いたっけね」と妻に尋ね、「今」の字も見れば見るほど「今らしくなくなって来る」とこぼすのです。
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